スペシャルコラム

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タルティーヌ1 

 私のフランスに出かけての大きな楽しみは朝食です。ホテルでも、知人の家の居候のときでもいつでもどこでもです。コンチネンタルブレックファーストですから卵料理やカリカリに焼いたベーコンなどはありません。もちろんホテルのレストランなら色々な国のお客様がいらっしゃるのでそれに対応すべくオーダーすれば卵でもハムでもテーブルに運ばれてきます。プチパンにクロワッサンなどのヴィエノワズリーにバターとジャム、コーヒーやカフェオレ、これが基本形です。シンプルですがフランスのパンの美味しさの底力を感じさせる幸せなひと時です。
この至福のひと時の為だけにでもパリに行きたいと思ってしまいます。

タルティーヌ2

 先ほどお話をした基本アイテムのパンとバターにジャム、これがまたタルティーヌの基本形でもあります。もともとタルティーヌはtertiner(タルティネ)というパンにジャムやバターを塗り広げるという言葉から派生しています。タルティーヌ、すっかり日本でもおなじみの食べ物となりました。今ではイタリアンのブルスケッタやクロスティーニに対抗してたっぷりの具材や調理したものをのせた一皿料理となっていますが、元は(今でも一般家庭の朝食では)横半分にスライスしたバゲットやフィセルにバターやジャム、あるいはその両方を塗り広げてコーヒーやカフェオレとともにいただくのがフランス流です。学校から帰宅、チョコやヘーゼルナッツのチョコスプレッドをパンに塗り広げて、または板チョコをのせてのタルティーヌも子供達の大好物です。クロワッサンやブリオッシュに板チョコをのせてオーブントースターで焼いてさっとチョコを溶かしていただくのも美味しいものです。マシュマロをのせたり、バナナをのせたり、砕いたコーヒー豆を散らしたりなどなど色々美味しそうなタルティーヌが考えられますね!塩味ならリエットやパテドカンパーニュも美味しいですね。

タルティーヌ3

 朝食はこのへんにして、パリをお散歩していてさぁお昼、軽いお食事をと思っても、レストランではコース料理が主流、なかなか軽く済ませるというわけにはいきません。こんな折には
パン屋さんが運営するタルティーヌ専門店やカフェでのお食事タルティーヌがオススメです。メニューを見ると地方色豊かなサラダが盛られたタルティーヌなどもあります。パリにいながらにしてフランスの田舎を旅しているみたいで得をした気分になれますね。パリのお店は店員さんやギャルソンが無愛想でなんとなく冷たい感じがする。よく聞くお話ですが、こんな人たちもメルシィの一言で帰り際にはにっこり笑って送り出してくれます。一般的に表情表現の苦手な日本人から見れば大げさなくらいの笑顔、パリジャンやパリジェンヌの悪かった第一印象を帳消しにしてくれるにっこりです。
店を出る時は美味しいタルティーヌ、幸せなひと時をありがとう、Merci beaucoupです。

タルティーヌ4

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