スペシャルコラム

COLUMS

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暑い夏が過ぎお日様も早く沈むようになった今日この頃、デパートの食品売り場にはマロンスイーツフェアのポップがそこここに。みんなが大好きな栗の季節到来です。

 日本の栗は縄文時代には主食としてすでに栽培種が存在していたようです。
所変わってフランス、イタリア、こちらも負けず劣らずの栗好き民族のようです。なんといってもコンフィズリー王者はマロングラッセ。マロンは栽培種の粒の大きな栗、山の小粒のそれはシャテーニュと言います。フランス南東部オーヴェルニュ=ローヌ・アルプ地域圏のアルデッシュ県が名産地、お菓子の材料となるマロンペーストやクリーム、マロングラッセもたくさん作られています。ケーキやお料理にアルデッシュ風(アルデッショア)とついていれば栗を使ったものと思って間違いないでしょう。イタリアでは北のトリノが大粒のマロングラッセで有名です。

 古代の日本で主食をつとめたこともある栗はかつて南フランスやイタリアでも小麦粉の収穫の出来ない貧しい山間部やコルシカ島でこれの粉が主食をつとめていました。栽培種ではなく山栗を粉にしたものがパンや、菓子の材料として利用されていました。保存段階で虫が入りやすいため粉をスモークして貯蔵します。そのため独特のスモーキーな香りがあります。私はこの粉で作ったパンやサブレが大好きです。素朴で噛み締めるとじわっと栗の甘みが口の中に広がります。蒸し栗を使ったポタージュもこの時期に料理教室でよく作る一皿です。

 今では日本でも容易に購入できる栗の粉ですが、入手困難な時代にはフランス旅行の際に買い求めて大事に少しづつ使って調理を楽しみました。パリの食料品店での出来事です。一箱の栗粉を買い求め、帰国前にホテルで開封してみたら、、、なんと箱の中から何匹もの虫が羽ばたいで部屋の中を飛び回りました。無添加無農薬で自然といえば自然ですが、びっくりです。翌日、その箱を持って食料品店へ訴えに!店ではびっくりどころか箱の中を確かめることもなく、謝罪の一言もなく返金処理をされてしまいました。
こんな冷たい接客はいかがなものでしょうか。お金の問題ではありません。誠意の問題です。結果として代替え品がなかったとしても、探す努力をするべきと思います。そんな気配りは必ずや人に伝わるものです。

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 有名食料品店であったためにこちらも対応に期待をしましたが、結果ちょっと苦い思い出となってしまいました。それでも栗は嫌いになれません。各店オリジナル、自慢のモンブラン達が競い合っています。
さて、どれにいたしましょう。

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